ラシックスの妊娠中・授乳中に与える影響とは

ラシックスと妊婦や授乳の関係

 

妊娠中・授乳中は医薬品の服用に気を付けている人が多いでしょう。それがラシックスであるなら、なおさらです。医薬品によっては、妊娠中・授乳中の服用はNG(禁忌)となっている場合がありますが、ラシックスはどうなのでしょうか?

 

ラシックスが与える妊婦・授乳中の女性への影響については、ラシックスの添付文書で垣間見ることができます。

 

妊娠初期又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠初期の投与に関する安全性は確立していない。]

 

本剤投与中は授乳を避けさせること。[母乳中に移行する。]

 

ラシックス添付文書:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00059390.pdf

 

つまり、妊娠初期~妊娠中に関しては、「なんらかの病気で浮腫が出ている場合に限り、ラシックスを服用しても仕方ない」というスタンスとなります。なので、むくみ取り・ダイエット目的で、健康な妊婦がラシックスを飲むのはNGということが読み取れます。

 

また、授乳中については、母乳をつうじて赤ちゃんにラシックスの成分がいきわたってしまうので、NGということになります。

 

「FDA薬剤胎児危険度分類基準」を見てみる

 

もっと詳しくラシックスの妊婦・胎児への危険度を調べたいときは、「FDA薬剤胎児危険度分類基準」を見てみるとよいでしょう。これはアメリカのFDA(厚生労働省のような機関)が設定している基準で、医薬品が胎児にどんな影響を与えてしまうのかを分類しています。

 

FDA薬剤胎児危険度分類基準

カテゴリー 危険性の評価 妊娠中・授乳中服用の可否
A 危険性ナシ OK
B それほど危険性ナシ OK
C 危険性があるかもしれない 場合によってはOK
D 明確に危険性アリ やむを得ない場合以外NG
X 禁忌 絶対NG

 

 

「FDA薬剤胎児危険度分類基準」には「A~X」の5つのカテゴリーに分かれており、A~Bであれば概ね問題なしとなっています。C~Dは妊娠中・授乳中のママや赤ちゃんへの影響が懸念されますが、病気の治療のためなら仕方ないと判断される場合もあります。Xについては完全に「禁忌」となり、何があっても服用できません。

 

問題のラシックスですが、「FDA薬剤胎児危険度分類基準」は「C」カテゴリーとなっています。このカテゴリーCというのは、「動物実験では危険性を示す証拠があるものの、ヒトでは実験していない」という状態です。なので、「ヒトへの影響はありそうだが、あるかないかはわからない」という状態ということです。なので、病院でラシックスが必要と判断された場合は、服用はOKとなります。逆に、むくみ取り、ダイエットのような自己判断での使用はとても危険です。

 

なお、カテゴリーXの医薬品には「ハルシオン」、カテゴリーDの医薬品には「デパス」などがあり、妊娠中・授乳中に服用しないほうがいい医薬品は比較的たくさんあります。ラシックスはもちろんですが、日ごろ睡眠薬などを利用している場合は、妊娠時には気を付けたほうがいいでしょう。

 

妊娠中・妊娠初期にラシックスが与える影響

 

では、実際にラシックスは妊娠中のママや胎児にどんな影響を与えるのでしょうか?

 

最もリスクが高いのが「脱水」です。ラシックスは利尿薬なので、ママの体内の水分が抜けて脱水状態になりやすいです。そのため、胎盤血流を低下させてしまう可能性もあります。胎盤血流が低下すると、赤ちゃんの発育遅延のリスクが産まれ、脳性まひなどの脳疾患を助長する可能性も否定できません。なので、特に妊娠初期についてはラシックスの服用はできるだけ避けるべきでしょう。

 

妊娠中毒症によるむくみの治療など、妊娠中にラシックスを使用するケースはあるにはあります。また、妊娠後期になると胎児も大きくなって、ラシックスによる発育遅延などのリスクは低下します。しかし、それでも大人に比べればまだまだ体重が軽く、薬剤の影響を受けやすいのは事実です。当然ですが、美容目的でむくみを取ってすっきりしたい、といった理由での服用は推奨できません。

 

授乳中のラシックスの影響は?

 

ラシックスの添付文書にもあったように、授乳期にラシックスを服用すると、母乳を通じて赤ちゃんにラシックスを投与することになってしまいます。成分量としては少ないですが、赤ちゃんもまだまだ小さいので影響は小さくはありません。赤ちゃんは、元々、極めて脱水になりやすく、脱水の症状も急激に出ます。

 

抗生物質のような、短期間しか服用しないものであれば授乳中でもそれほど問題になりません。しかし、ダイエット目的などでラシックスを服用する場合、減量するまでの長期にわたって服用することになりかねません。そうなると、数か月以上の間、赤ちゃんは母乳を通じてラシックスの影響を受けることになります。もし低カリウム血症や低血圧といった重い副作用が出てしまうと、こんごの成長への影響もあるでしょう。

 

なので、自己判断でのラシックスの服用は絶対NG。もし処方された場合も、漫然と利用せず、赤ちゃんの状態を見つつ医師と相談しながら服用していくほうがよいでしょう。

 

妊活・不妊治療中のラシックスはOK?

 

妊活・不妊治療中の場合についてですが、ラシックスを飲むことによって、妊娠しにくくなるなどの報告はありません。ただ、副作用が強く出てしまった場合は、その分体調が悪くなるということなので、間接的に妊娠しにくくなることは考えられます。

 

また、妊活・不妊治療中ということは、その間に妊娠する可能性があります。つわりなどで妊娠に気が付くころには、妊娠初期の2週~12週はあらかた済んでいることになり、胎児がラシックスの影響をもろに受けてしまうことになります。

 

なので、妊活・不妊治療中はラシックスはできるだけしないのが理想です。ダイエット目的などの自己判断の服用は、なるべく避けるべきです。ただ、なんらかの病気の治療目的で処方されている場合は、医師との相談のうえで服用してもよいでしょう。